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【準決勝】張栩−河野臨

第1回大和証券杯ネット囲碁グランドチャンピオン戦準決勝
●河野 臨天元
○張  栩名人
日時 : 2008.5.10
結果 : 298手・以下略、白3目半勝ち



総譜(1〜298)

 張栩名人と河野臨天元、日本碁界を代表するトップ棋士が、準決勝で激突した。張名人は機敏に実利でリードし、河野天元は読みの入ったパンチを振るう。両者が存分に持ち味を発揮した大熱戦は、ヨセ勝負へ。張栩名人が得意のヨセでなんとか抜け出し、決勝進出をきめた。

【三村解説】
 終始、戦いが続く難しい一局でした。最後は白3目半勝ちとなりましたが、本来はそれほど差がつく碁ではありません。
 左下、白32ノゾキに河野天元が反発したことから戦いがはじまります。

局面図1

 白1ノゾキに対して、黒2から4が意外ながんばりでした。一見、白7、9の出切りを食っては黒が苦しい、と即断しがち。ところが、黒10から14まで、黒ががんばりきっていました。河野天元は、この変化を研究したことがあったのでしょうね。黒16と二子を制しては、黒が一本取ったワカレです。










局面図2

 前図の続き。
 白1と切りたいところ。黒2は当然ですね。
 ここで黒4ツギがどうだったか。ここは黒8と抜くべきでした(変化図1で検証します)。河野天元はおそらく、中央白2子の動き出しをけん制するために黒4と厚く受けたのでしょうが、張栩名人は見事な返し技を用意していました。 白7が見事な切り返しです。黒は8と抜かざるをえません(こちらは変化図2をごらんください)。白9と隅に食い込んで、実利を稼ぎつつ眼形を得ることに成功。本来、左下は白が苦しいワカレになるはずでしたが、張名人の好手によって、被害を最小限にとどめることができました。


変化図1

 局面図2の黒4では、本図の黒1と抜くべきでした。河野天元はおそらく白2からの動き出しを気にしていたのでしょう。白6カケが強手。ですが黒7とニョキニョキ逃げ出して、この黒一団は捕まりません。白6が無理とすれば、白はaくらいのもの。黒bとマガり、以下どのような戦いになっても黒が大いにやれそうです。









変化図2

 局面図2の黒8で本図の黒1は無理。白2から4が好手です。白からaとbが見合いになって、黒がツブれているのです。















局面図3

 地合は白がリードしているようですが、白には薄い部分がある。形勢はいい勝負でしょう。
 黒5が、河野天元の狙いすました一着でした。白6から10は、「黒2子を取った」のではなく、やむをえずシブシブ「取らざるをえなかった」のです。黒からの利きが多くて、この取り方は白がツラくてたまりません。
 黒13ツケコシが先ほどの捨石と連動した手筋、上辺を割ることに成功しました。さらに河野天元は左上の薄みをねらっています。





変化図3

 局面図3の白6で、本図の白1は無理。黒2から8のコウ仕掛けが強烈です。このコウは一方的に白に負担が重い。負けると右上一帯が壊滅してしまいますからね、とても争えません。













局面図4

 局面図3の続き。
 黒1から3と、河野天元は二の矢を飛ばします。中央に弱石をかかえた白は抵抗できず、白4と辛抱しました。
 黒5が利

 
   
 

 

 

 

 

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