【2回戦】張栩─小林泉美 |
第1回大和証券杯ネット囲碁グランドチャンピオン戦2回戦
●張 栩名人
○小林 泉美六段
日時 : 2008.4.19
結果 : 141手完、黒中押し勝ち
総譜(1〜141)
大和証券杯レディース優勝者の小林泉美六段と張栩名人の“夫婦対決”が実現した。ファンの注目を集まる大きな舞台で、夫婦が対等に勝敗を競うとは、どんな競技・ゲームでもなかったこと。まさに囲碁ならでは、大和証券杯ならではの夢の組み合わせとなった。
【三村解説】
黒1から5はよく張名人が用いる布石。そのあとの展開についても、そうとう研究しているはずです。その内容については泉美六段もよく知っているはずです。
実戦の黒43まで、序盤戦はまったく互角でした。
局面図1
白1のオサエ込みから黒4とツメて、上辺で戦いが始まりました。
黒4に続いて白AなりBなりといったん力を貯めれば普通。ですが、泉美六段はそれでは物足りない、とみたのでしょうね。白5、7と上辺の封鎖を狙いました。泉美六段らしい厳しさといえるのですが――。
ここで黒8のハネ出しから12が場合の好手。
既着の黒8一子がひどい有様ですから、普通は打ってはいけない、とされている手なんですね。ところが、この局面では上辺黒と右上白の力関係がもっとも大事。黒12まで突き出して、上辺では黒が強くなり、右上白が弱体化した。黒20までははっきり黒が攻める立場にあり、張名人が主導権を握りました。
局面図2
前図の続きです。黒2と白を追って好調です。
白3、5のハネがまた石の運びとしてはかなり激しい。白3で、たとえばAトビなら穏やかでした。泉美六段は、やはりそれでは緩くて満足できなかったのでしょう。こういう白3、5のような手は、その人なりの棋風のあらわれですから、外野から善悪をいってもしょうがないと思われます。
とはいっても、黒8とノビられては白がおおいに弱っています。白1と上辺の白五子をうまく連絡する手がないのですから。
そこで白9ツケから変化を求めましたが、黒14まで上辺がそっくり取られ。これは右上一帯の黒地が大きすぎて、形勢は大差でしょう。白17でB抜き、黒C、白D、黒Eと右辺の模様に期待する進行も、かなり苦しいでしょうね。
実戦、泉美六段は中央の模様に賭けましたが、張名人の的確な応手にあってうまくまとめることができませんでした。
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