【2回戦】高尾紳路─河野臨 |
第1回大和証券杯ネット囲碁グランドチャンピオン戦2回戦
●河野 臨天元
○高尾 秀紳本因坊
日時 : 2008.4.19
結果 : 207手完、黒中押し勝ち
総譜(1〜207)
タイトルホルダー同士の重量級対決。十段を奪取し意気あがる高尾秀紳本因坊と、さらに芸域を広げたと評判の河野臨天元。充実著しい両者らしく、見所の多い一局となった。
【三村解説】
河野天元の模様に、高尾本因坊が挑む展開です。
局面図としてはあげませんでしたが、左下白32から70までの攻防は見事なワカレ。「さすが」とうならされました。
局面図1
白が中央を消しに向かった場面です。白5ツケコシは、中央黒を切っておこう、という意味。対して黒7であれば白6、黒A、白B、黒Cまで決めて白9トビの予定でしょう。ただ逃げるのではなく、その前に中央黒を切っておけば将来、シノギの足しになるかもしれませんからね。
これに対し、河野天元は黒6と意外な反発を見せました。黒8まではわかるのですが、ここで白9トビがわからない。わたしには高尾本因坊の意図が読み取れません。黒10、12と出られてみると、先の白9が一手パスになっており、ここで白が形勢を損じました。
変化図1
前図の白9では、本図の白1アテでよかったはず。黒はやはり2、4と出るでしょうけれど、白5トビで黒がうまくやったとは思えません。
実戦の進行は、図の白5でAに打ってしまったようなものですから、本図とはずいぶん違いますね。
局面図2
局面図1から三十手ほど進み、右上で戦いが続いています。右上白はいかにも重たい形。これをどうサバくか、が問題です。
白1切りはちょっとした様子見(変化図2で説明します)、うまい手筋でした。黒2ノビはやむをえません。
白3から7と右辺へ足を伸ばしましたが、これでは眼形が薄かったのではないでしょうか。白はもっとよいサバキがあったはずです。
変化図2
白1切りは黒の受け方を見たものです。もし、黒2なら白3から7までズルズル出て9ツギまで。中央の黒数子を取り込み大成功。
黒2で9なら、話は簡単。白からAノゾキが利き、白4とカカえて解決です。
変化図3
局面図2の白3では、本図の白1アテから5の決め方がまさるように思います(ただ、白1アテは白から2と切る味をなくすので、高尾本因坊は打ちにくかったのでしょう)。
これなら白の眼形が厚く、あとを強く戦える。白7と踏み込めば、右辺黒三子を狙えます。続いて、黒Aなら白Bに回ることができます。黒Cと弾いてのコウ。勝負はまだこれからでした。
局面図3
局面図2の続き。上辺からの白一団をニラんで、黒1が厳しいモタレ攻めでした。白2とともかく頭を出すよりありません。黒3、5と手抜きをとがめられて、白は苦しい。白6と中央黒を取り込んで大石を治まったものの、右辺を破られた損が見るからに大きいですね。さらに、黒11からはっきり左上を生きられて、勝敗決しました。
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