決勝トーナメント準決勝 依田紀基−高尾紳路

第2回大和証券杯ネット囲碁オープン決勝トーナメント準決勝
●依田紀基九段
○高尾紳路大和証券杯
日時 : 2007. 03. 3
結果 : 183手完、黒中押し勝ち

 準決勝のもう1局、高尾紀基名人―依田紀基九段も興味深い顔合わせですね。張栩碁聖と王銘エン九段は個性を前面に押し出して、自ら局面を動かすタイプ。それに対し、ここで取り上げる高尾さんと依田さんは形に明るく手厚いタイプといえるでしょう。どちらも早碁にはめっぽう強く、ネット碁にも自信を持っているようですね。


局面図1
 白1から3は難解な変化を含む定石です。黒8のカケツギは古い定石で左上はあっさり打ちました。依田さんとしては、黒18のシマリに魅力を感じたのでしょう。ただ、白19と動き出されてこれはこれで難しい戦い。













変化図
 先の黒8では本図の黒1なら難解形に進みます。黒3から5の切りが厳しい。白6サガリの一手に、黒9なら穏やかなワカレですが、白10までの実利が大きい上に、白一子の動き出しが残って黒がさっぱり。そこで、黒7でAアテから白Bと重くして、黒Cとがんばる手が研究されています。このあとがひじょうに難解で、にわかには結論を出せません。









局面図2
 先の局面図から数手進んだ場面。中央の競り合いで、白1のケイマが薄かった。黒2から6と準備して8が痛打。白9から11はしかたありませんが、黒14と両断しては黒が優勢です。高尾さん、「参った」って気分だったでしょうね。白9で11なら、黒13のワリコミが来る。カナメの白二子が助からず、白投了となってしまいます。
 結局、白1ではAとトンでいればまだまだこれからの戦いでした。でもねえ、早碁はなかなか冷静に打ち切れないもの。実戦の白1のように、少しでも相手に響くように行きたくなってしまうんです。だからわたしも高尾さんの気持ちはよくわかる。その隙を見逃さなかった依田さんが鋭かった、ということです。


局面図3
 優勢に立ってから、依田さんの足取りはまったく乱れません。黒1、3は気持ちのよい攻め。「攻めながら地を取れ」の見本のようなものですね。左下の黒地が大きく確定し、黒勝ちが決まりました。














変化図2
 黒1のように大上段に振りかぶって攻めるのは、気分だけの手。白2、4とサバかれそう。黒は左辺がかすかに薄いんですね。黒5、7には白8から12まで「あっ!」ということになってしまいます。













総譜(1〜183)


 
   
 

 

 

 

 

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