決勝トーナメント1回戦 依田−趙

第2回大和証券杯ネット囲碁オープン決勝トーナメント1回戦
○依田紀基九段
●趙 治勲十段
日時 : 2007. 02. 24
結果 : 128手完、白中押し勝ち

 1回戦4局が終了しました。いずれ劣らぬ熱戦でしたね、さすがに日本碁界を代表する顔ぶれがそろっているだけのことはあります。準決勝は高尾紳路名人―依田紀基九段、張栩碁聖―王銘エン九段という、興味深い組み合わせ。わたしとしてもおおいに楽しみにしています。
 さて、今回は一回戦から、意外な結末を迎えた趙治勲十段―依田九段戦をとりあげましょう。


局面図1
 序盤からおもしろいワカレとなりました。
 白1のコスミが強い手でしたね。対して黒Aなら白11、黒Bなら26にハサんでいこうという意味。
 対する黒2から4のカケがまた強い。いきおい白5、7と出切って激しい展開となりました。以降の進行は、だいたいこうなりそうなところ。黒26までの出来上がり図は見たことのない形ですが、いい勝負でしょうね。さすがに両者とも間然とするところがなく、早碁であることを感じさせません。






局面図2
 右下、白1ツギはおもしろい手でした。白2とノビていれば普通なのですが、依田九段としては続いて黒A、白4と先手で生きられ、黒Bあたりへ展開されることを恐れたのでしょう。
 さすがに白1に対して、黒Bへはヒラけません。白A、黒Cとオサエ込まれて生きるのではツライですから。なので、白1に対しては黒2とハネたくなる。そこで白3ひとつで先手を取り、白5を依田九段は急ぎました。ここへ行きたいがための白1だったわけです。
 とはいえ、黒6が右辺を盛り上げる好点。ここまで、全体の形勢を見ると、黒が悪い気はしませんね。白としては下辺のまとまり具合が勝負となります。


局面図3
 下辺の白模様に対し、どう手をつけるか。
 黒1の消しは第一感。ここでAくらいの消しでは白1と囲われていたって、黒は自信が持てません。依田九段も取れるとは思っていないでしょうが、ともあれ白2と封鎖するところ。
 さあ、相手陣内で居直り開始。まず、黒5にツケて見たい感じ。そして黒7、9と切り違える。これ、普通なら十二分にサバけているはずで、シノギの巧みな趙十段ならずとも、わたしだって「まさか死ぬはずがない」と思ってしまいそうです。
 ところが、意外や意外。白16が急所で、この黒はかなり苦しい格好なんです。(実戦もそうなったように)黒B、白C、黒Dとここに一眼確保できてはいますが、どうもほかに眼ができそうもない。結局、打っただけ丸ごと取られて、趙十段もさぞかし驚いたでしょうね。

変化図
 本来、下辺の黒は簡単に取られる石ではないはずです。
 黒1から3もひとつの筋。白4なら、黒5から7、9です。黒11アテコミが急所で、このあと黒A、白B、黒Cくらいを想定してもかなり粘っこいでしょう?
 また、本図の黒1でD、白E、黒2、白F、黒1、白Gと露骨に決め、それから黒Hツケならだいたいシノげていそうです。







総譜(1〜128)


 
   
 

 

 

 

 

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