【予選】杉内寿子(自戦解説)−岡田結美子

第1回大和証券杯ネット囲碁レディース予選
●杉内 寿子八段
○岡田結美子六段
日時 : 2007. 04. 23
結果 : 258手完、白1目半勝ち


 日本棋院の杉内です。この棋戦のお話をいただきまして、このたびはじめてネット対局を経験しました。
 これまでタイトル戦などの中継をネットで観戦することはあっても、対局をしたことはございませんでした。そこで急遽練習対局をしてみたのですが、まずマウスを動かすことからが大変。自分の思ったところにうまくポインターが行かないものですから「こんなことで本番の対局でうまくいくだろうか?」と不安に思っておりました。さいわいにも、この対局ではなんとか大丈夫。クリックミスをせずにすみました。
 ところが、操作のほうに気が行っているせいでしょうか、この対局では時間を有効に使うことが難しかった。どうしても秒読みになるとあわててしまう。実際の盤と石を使った対局でしたら、わたくしにも長年の経験がありますからね、秒読みにそれほどあわてることはありませんが、今回は「10秒!」の声が聞こえますとどうしてもあせりが出てしまいました。
 とはいえ、クリックにしても秒読みにしても慣れの問題ではないかと思われます。思うように外出できない方や、周囲に碁の相手がいない方でも気軽に対局を楽しむことができるネット対局は本当にすばらしい。今後、大いに発展するのではないでしょうか。

以下に、岡田六段との対局でのポイントを、わたくしなりに解説してみたいと思います。

局面図1
 右下、白1切りから激しい戦いとなりました。対局中は「白はやや無理気味ではないか」と思っておりましたが、黒が攻めを誤ってしまいます。黒6ではAと急所にツケて、白の様子を見るべきでした。白Bツギなら次に黒Cから上下の白を切る手が残ります。かといって、白Dツギでは眼形に乏しい。白の対応が難しく、黒からの攻め具合がだいぶ違いました。
 黒の攻めが甘くなったものの、白にもミスがあったようです。白19で20ソイならこの白はほとんど治まり形。白のがんばりが通り、黒不満の結果に終わっていたでしょう。実戦の黒26以下はこちらの花見コウですから、悪くないと思っておりました。

局面図2
 先の局面図から数手進みました。  黒が悪くないコウ争いはずでしたが、わたくしのコウ立てが甘かった。正しくは黒1で11ツケ。白1と生きたときに黒16の連打でなければいけません。
 そして黒27が打ちすぎでした。黒28に連絡していれば、いくらか黒が打ちやすかったのではないかと思います。白28から38まで、中央の黒八子を取り込まれることになっては、黒が容易ではない局面でしょう。







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