決勝トーナメント準決勝 張栩−趙治勲

第1回大和証券杯ネット囲碁オープン
▼決勝トーナメント準決勝
●張  栩名人
○趙 治勲十段
日時 : 2006. 10. 15
結果 : 285手完、黒1目半勝ち

 準決勝戦は2局とも見ごたえのある碁でしたね。ここで取り上げる張栩名人―趙治勲十段戦は非常にレベルの高い次元での攻防が繰り広げられました。さすがは現タイトルホルダー同士です。



局面図1

 右上でのコウ争いは黒が一本取って、やや張名人がリードした中盤戦です。
 趙十段の白1ヒラキはがんばった手(6と控えていれば穏やかでした)。対して、わたしなら黒5、白14、黒10と左右のラインをつなげたくなる。それでも黒が十分だったでしょう。
 張名人は厳しく黒2からこの頑張りを咎めにいきましたが、うまく行ったかどうか。白5の反撃がきつかった。白15と頭を出され、21に回られては黒のリードが吹き飛んでいる。黒2の仕掛けは失敗と言ってもいいでしょうね。ここで白が相当な碁になった、と思います。



局面図2

 白1ケイマはたいていなら好点なのですが、この場合は左辺黒が固いのでやや価値が低かった。白2のトビが良かったのではないでしょうか。右下白を援護しつつ中央黒を消し(展開によっては白A切りが狙いになるかもしれません)、こちらがわかりやすかったように思います。
 張名人はあわてず騒がず黒2、4と中央に手をかけます。白模様が広がったようでも、黒6サガリから右下白を脅かしつつ上辺へなだれ込む。このあたり、さすがですね。じりじり消して十分勝負になっている。のちに黒B、白C、黒Dと三子のもぎ取りに回り、巧みに細碁へと持ち込みました。


変化図

 実戦の進行ではありません。もしこう打っていたら、という変化図です。
 ヨセ勝負の終盤戦、実戦は白1でA抜き(白166)でした。小さい手ではないのですが、続いて黒13、白B、黒2まで中地がまとまり、わずかながら黒に残りそうな形勢です。
 そこで図のように白1以下のヨセが勝ったはず。白9カケを利かして、白11から黒の大石全体にヨリツきます。白15に続いて、黒はC、白D、黒Eと眼を持つくらい。白からFオサエも利きそうですし(実戦は黒Gとトビ込まれてしまいました)、これなら白の勝ちだったでしょう。


総譜(1〜285)



 
   
 

 

 

 

 

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