決勝トーナメント 高尾−井山

第1回大和証券杯ネット囲碁オープン
▼決勝トーナメント1回戦
●井山裕太七段
○高尾紳路本因坊
日時 : 2006. 10. 07
結果 : 290手完、白5目半勝ち

 決勝トーナメントの一回戦からは、高尾紳路本因坊と井山裕太七段の一戦を。
 17歳の新進気鋭・井山七段といま一番勢いのある高尾本因坊の対戦だけに、ファンのみなさんも注目されていましたね。わたしも楽しみにしていた一局です。



局面図1

 白番の高尾本因坊の、1とツメた手(実戦の白16)がちょっと目を引きますね。本来の高尾さんの棋風なら堂々と4へトブはずです。続いて黒A、白B、黒C、白Dなら普通の進行でした。
 高尾本因坊にしてみれば「この碁はひとつ、白1ツメで打ってみよう」ということなのでしょうが、黒2から12が井山七段らしい強い攻めでした。白は左辺に封じられてしまい、13から19までの生きはあってもいかにもつらい。黒20まで黒に不満のないワカレです。





局面図2

 黒がポイントをあげたとはいえ、まだまだ難しい。実戦譜をごらんいただきたいのですが、白86(G8)あたりから、左右の黒が絡み攻め模様。以降、井山七段は左方をシノギ切りましたが、右辺黒がピンチに陥っています。
 局面図、白1(実戦の白140)は高尾本因坊のミス。ここでは白8コスミなら右辺黒は取れていたでしょうね。
 すかさず黒2放り込みからダメを詰めてから、6ツケが厳しかった。白7と受けざるを得ませんが、黒Aの眼持ちの生きとBツギからの右上白を殺す手、二つが見合いとなって右方の黒もシノぐことができた、はずでした。


局面図3

 先の局面図から数手進みました。白1とコスめば、黒2から6まで右辺からの黒と右上白はいちおう攻め合い。ただ、これはかなり白にとって話の遠いヨセコウなんです。この時点では、碁は黒の勝ちになっている。
 しかし、手堅く勝とうとしたであろう黒12が大失着。自身のダメを詰めてしまい、白13から15がアタリになってしまった。白17とぴったり白に生きられてしまっては大逆転です。ひるがえって黒12では単にAの引き(右上の攻め合いは白の不利な三手ヨセコウです)、もしくは黒17アテ、白Bを決めて黒12なら勝ちは動きませんでした。


総譜(1〜290)



 
   
 

 

 

 

 

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