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【1回戦】小林泉美─巻幡多栄子

第2回大和証券杯ネット囲碁レディース1回戦
●巻幡多栄子三段
○小林 泉美六段
日時 : 2008.5.24
結果 : 210手完、白中押し勝ち



総譜(1〜210)

 第1回優勝者の小林泉美六段は本戦シード。女流タイトル獲得数10は歴代トップタイ記録だ。読みが深く、思い切りのいい棋風はネット棋戦でより力を発揮できるようだ。連覇のかかる今回、1回戦で巻幡多栄子三段と対戦した。

【溝上解説】

局面図1

 立ち上がりから、白が打ちやすい碁になっているようです。左上のワカレが一段落したところでは、上辺と左辺の両方を打った白に不満がありません。
 本図の黒1ボウシから形勢が本格的に傾き始めます。左上からの一団を補強する意図ですが、かえって薄くなってしまった。ここは黒2とシマって実利をとっていた方が普通でした。
 白10がその薄みを衝く好手。黒11から17までは華麗なフリカワリですね。いい勝負、といいたいところですが、この局面では白18トビが絶好。上辺黒に対しかなり厳しい攻めが展開されそうです。 巻幡三段にこの碁について聞く機会があったのですが、「50手くらいでツブされてしまった」と言っていましたね。地合の差はそれほどではないのですが、以降、白の攻めが途切れることなく続きます。


局面図2

 局面図1から50手ほど進行した場面。上辺の黒数子が取り込まれた上に、中央一団はまだまだ薄い格好です。
 ここからの小林六段の打ち回しに感心させられました。まず、白1ツケがすごい。本局のハイライトといえるでしょう。白2と抜いても十分なところを、わざわざ黒2とツガせているんですね。そこから改めて白13のボウシで全体をニラみ、局面の主導権を手放しません。厳しいものですね。






変化図

 前図の白1で、本図の白1抜きでも悪いことはないんです。でも、これは黒4と逃げこされ、黒に一息つかれてしまう。泉美さんは一気に碁を決めに行きました。














局面図3

 黒1ノゾキにかまわず白2オシが勝着といっていいでしょう。黒3を許しても白4、6と左辺を手にし、同時に勝敗も定まったようです。
 局面図2の白13から、黒を攻める調子で左辺へなだれ込んだ、大きな構想がすばらしい。このあたりの呼吸は、総譜でじっくり味わっていただきたいと思います。

 
   
 

 

 

 

 

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