【1回戦】小山栄美─向井千瑛 |
第2回大和証券杯ネット囲碁レディース1回戦
●向井 千瑛二段
○小山 栄美五段
日時 : 2008.5.24
結果 : 249手完、黒3目半勝ち
総譜(1〜249)
女流碁界では謝依旻女流本因坊をはじめとする若手の活躍がめざましい。女流棋聖戦の挑戦者となった向井千瑛二段も将来のタイトル候補のひとり。1回戦で女流名人通算4期の実績を持つ小山栄美五段とぶつかった。
【溝上解説】
局面図1
向井二段の黒1ハイは根拠の要点、地味ながら好手です。
対して小山五段の着手は過激な方向へ行ってしまいます。白2から6の頭ツケが強烈ですね。右辺黒をやっつけてやろうというのですが、結果は芳しいものではありませんでした。
黒9から11の反撃が厳しかった。隅の白はもはや無事にすまず、黒19までこの白の一団は取られ。見た目はシメツケ風の格好でも、さすがに黒地が大きすぎるでしょう。
変化図1
黒▲切りには白1から3と生きているほうが良かったようです。右辺は破られたとしても、白11ヒラキに回って実戦よりもはるかにまさりました。下辺白△一子の動き出しも狙えますし、これなら白が走っていました。
局面図2
右下で失敗した小山五段ですが、中央を大模様にして対抗。白1といっぱいに広げては、形勢が良くないとはいえ勝負形になっていると見ます。
黒2は見当の消し。ですが、黒6は打ちすぎでしょう。左辺白にちょっかいを出したおかげで、局面に紛れが生じてしまいます。黒6でA、白B、黒Cと一歩一歩模様を削減していれば、手堅く優勢を維持できました。
局面図3
前図から数手進んだ場面です。黒の薄みを衝いて白1ツケが鋭い。
黒10からこの白にヨリツいてみたいところではありますが、中央を重視して黒15にツイでいるべきでしょう。白15の出がものすごいところですね。白21まで中地がかなり増えており、細かいヨセ勝負に持ち込まれています。まだ黒が悪くないようですが、序盤での貯金もほとんど吹き飛んでいる。
局面図4
秒読みとは恐ろしい。
黒1ツケが大変な一着。ここは黒3切りで黒の手数を伸ばしていなければいけませんでした。白2と付き合ってくれたので助かりましたが、白A、黒B、白Cと問答無用にダメを詰められていたら右下の攻め合いは大逆転、碁は終わりですね。熱戦も思わぬ幕切れを迎えてしまうところでした。
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